「写真って…何処で手に入れたんですか!?」
「だから企業秘密だってば」
「大丈夫だよ、千鶴。俺が見つけてやっからさ!」
「平助君…ありがとう!」
「へぇ。で、君が一番に千鶴ちゃんの写真を見るわけだ」
「なっ!?」
「え…見ないよね…?」
「え」
「………平助君のえっちーーー!!」
〜2〜
駆けて行く千鶴をただ見送るしか、否千鶴の言葉で灰になりかかっている為に追うことができない藤堂の肩にポンと手が載せられた。
「ま、今のはお前が悪いわな」
「そんな落ち込むなって。男なんて皆エロいんだよ」
フォローなのか追いうちのなのか定かではない言葉にさらにへこむ藤堂。
と、
「ん?あれは…」
ふと視線を向けたとき妙なものが目にとまった。
それは…
「あれ、土方さんの…」
「あ、まじだ。こんなとこに…」
中庭の植木の下に隠されるように落ちているのは一冊の本。
「……おい待てよ」
拾おうとした原田を止める永倉。
その声に原田も藤堂も振り返った。
「なんだよ、新ぱっつあん?」
「お前ら、あいつが言ってた言葉を忘れたのか?この句帳には偽物があるって話をよ」
「あ!」
永倉の話にそう言えばと声を上げる藤堂。
しかし原田はさっきまでその話をしてたじゃねぇかと内心呆れていた。
「覚えてるって。だが偽物にしても本物にしても見てみねぇことにはどうにもならんだろ」
「そこだよ、そこ!……もしそこにあるのが、あの千鶴の写真付きだったら?」
「「……!」」
にやりと永倉が笑った。
「さて、誰が確かめる?」
「た、確かめるって…もし千鶴のだったら…!」
「千鶴にゃ嫌われるだろうな」
「おう。……だがめったにお目にかかれない代物だってことはたしかだよな」
「新ぱっつあん!?」
「ま、確かにな」
「左之さんまで…」
目の前にある一冊の本を巡り三人の男が真剣に話し合う姿は滑稽だったが、本人たちは本気だ。
だがしかし、彼等は忘れていた。もっとも大事なことを……
「お前等…何やってやがる」
「「「ひ、土方さん!?」」」
後ろに現れたのは…ご存じ、鬼副長だった。
「ん?……おいそりゃ…」
「ち、違うんだ!!これは土方さんの句集じゃなくて!!」
その瞬間『この馬鹿!』と二人が思ったことは藤堂には分からない。
「おい平助、お前なんで俺の句帳が無くなったこと知ってんだ…?」
ああ?とドスの聞いた声で聞かれれば気分は尋問。
「そ、それは……」
「まぁいい。取り合えずそれはこっちに渡して貰おうか」
「あっダメだって!!」
藤堂が土方より先に取ろうとするが…間に合わなかった。
そしておもむろに土方が本を開く。
三人はそれがもし千鶴のだったら……と気が気じゃなく、しかし見守るしかできず。
だが、またもや大事なことを忘れている三人。
「………ほう」
「土方さん!?何が書いてあった!?」
「写真とかは…入ってねぇよな?」
「なんだよ、もったいつけんなよ」
土方の顔色を窺う三人を、土方はゆっくり見まわした。
その顔は……笑っている。が、目が笑っていなかった……
「テメェ等……覚悟はできてんだろうな?」
「「「え?」」」
そのすぐ後、屯所中に響き渡る叫び声が聞こえた……
続く
もどる
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千鶴ちゃんを守り隊。全滅?
守ってないけどね。