「そういやお前、綱道さんの捜索願まだ出してねぇんだよな」
ふと私の顔を見た副長、土方さんの問いに私は「はい」と頷くと、
「だったら行って来い。先方には話を付けておく」
そんなこんなで今回私は警察署に行くことになりました。
〜6〜
「斎藤、ついて行ってやれ」
そう土方さんに言われて私に同行してくれたのは斎藤さん。
現在、斎藤さんの運転する車に乗っています。
「それにしても……新選組は警察と交流があるんですか?」
土方さんの話を思い出す。
なんでもすでにお父さんのことは警察の知り合いに話しているらしく、公に捜査願いを出してこれからは警察にも協力してもらうらしい。
「……近藤さんはもともと刑事だった」
「そうなんですか!?」
「ああ。その時ある事件で土方さんや総司がいた組を警察が検挙し、それで居場所を無くした組員をまとめ新たな組を作ったらしい」
「へ、へぇ……」
まるでドラマか何かのようで、今一現実感が出ないけれど……それを言っては現在の自分だって相当だ。
だけど彼等にそんな過去があったなんて……
「斎藤さんは……その、どうして?」
「……俺はもともと別の組にいた。だが………まぁ色々あってな」
詳しくは聞かない方がいいと思うが。と続ける斎藤さんに、かなりハードな過去を感じて黙った。
なんと言っても彼等は暴力団。普通に生きてきた私では世界が違い過ぎる。
それに知らない方がいい事の方が多いだろう。今でさえお荷物なのにこれ以上迷惑はかけたくない。
結局その後は何にも言えずに重々しい沈黙の中、車は警察署に着いたのだった。
「おや、斎藤さんじゃないですか」
警察署に入ると真っ直ぐ受付へ向かう斎藤さんを見失わないように追いかけた。
足取りから来なれてる感がする。……用事で来てるんですよね?
そんな私の後ろから、斎藤さんを呼ぶ声が聞こえた。
「島田警部」
「今日はどうかされたんですか?」
振り返るとそこには大柄ながらも優しげな顔をした男の人がいた。
「井上さんに会いたいのだが」
斎藤さんがそう言ったとき、別の人物がこちらにやってきた。
「斎藤さん、お待ちしていました」
軽く頭を下げるその人は斎藤さんと同じくらい若い人で、ビシッとスーツを着こなしたかっこいい人だった。
「この子が例の?」
山崎さんと言うらしいこの人はこの若さで警部補らしい。
しかも私やお父さんのことも知っているよう。
「ああ。綱道さんが消えてもう三か月。いい加減何か情報が欲しい頃合いだ」
「それでですか」
私は二人に挟まれて何とも言えない状況だった。
そう。もう三か月も連絡がない。情報もない。本当に無事なのだろうか……信じていたいけれど……
お父さんのことを思うと心配で……苦しくて堪らない。
そんな私を見かねたのか、斎藤さんは軽く私の肩に触れ、山崎さんには聞こえないくらいの声で、
「必ず見つけ出す。もう暫く我慢しろ」
その言葉に顔を上げれば、微かな笑みが私に元気をくれた……
その後、副署長さんの井上さんに会い、いろいろと父のことを聞かれた。
私も出来る限りのことを答え、最後には「ちゃんと見つかるから、それまで頑張るんだよ」と優しい言葉までかけてもらった。
……それにしても、まさか土方さんの知り合いが副署長さんだとは。
この関係はいいのか悪いのか……たぶん私なんかじゃ分からない世界だな。取り合えずそう自己完結して私達は警察署を後にした。
「問題はなかったか?」
「はい。ちゃんと捜索願を出してきました」
「えー、千鶴ちゃん今日、一君と出かけてたの?ズルイなぁ」
「仕事だ。遊んでたわけじゃない」
「斎藤の言うと通りだ。斎藤には警察所に同行してもらっただけだ」
「だったら僕でもよかったじゃないですか。ねぇ千鶴ちゃん?」
「え…?あの……」
「警察署までは遠いだろうが。車が運転できねぇと無理だ」
「だから僕は免許ありますって」
「………訂正する。まともに運転できる奴じゃねぇと千鶴は乗せられねぇ」
「どういう意味ですか」
「……斎藤さん、そんなにすごいんですか?沖田さんの運転……」
「………平助曰く、総司の運転より恐ろしい乗り物はない」
「………」
「あんたも気をつけることだ」
「……肝に銘じておきます……」
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ちょっと真面目に書いてみた。
出したかったのよ。警察署メンバーw
ちなみに山崎は勿論間者ですよw(勿論って…)
過去話はまたいつか思いついたら(無計画!!)