その赤ん坊の握っていた手紙には……こう記されていた。




この子は雪村千鶴の未来の愛娘

名前は雪村千代

可愛がってあげてください




「捨て猫か!!!」

あまりの物言いに誰かが突っ込みを入れた。
若干ずれているような気もするが……




親父は誰だ!? ベイビーパニック!

〜千代と申します〜






気を取り直して、とりあえず場所を部屋の中に移した一向。

「えー…と?つまり君はこの木の下に置いてあったその子を見つけたわけだ」

千鶴は沖田の言葉に頷いた。

「はい…。泣き声が聞こえて……なんだろうって見たら……」

赤ん坊がいた。しかも…自分の子供だという…だ。

「…ここにいたということは大志の誰かの子でしょうか」

「確かにその筋が一番怪しいが……なんだってこんなとこに捨てるんだ?しかも雪村を名指しで」

斎藤の言葉に頷きつつも首をかしげる土方。


「んでもさ。こうやってみると結構千鶴に似てる気もするな」

千鶴の抱く赤ん坊を覗き込みながら藤堂が言う。

「ん?…ああ確かに。顔立ちや髪がそっくりだな。なんつーか…千鶴が赤ん坊だったころはこんなんだったんだろうなって感じだ」

赤ん坊に指先で遊んでやりながら原田も同意する。

「そんな……私こんなに可愛くなかったですよ!それにほら……」

顔を赤くしながら千鶴は赤ん坊の首筋を指差した。

「ほくろか」

「はい。私にはこんなほくろありません」

なるほどと赤ん坊と千鶴を見比べる二人に、

「いや、まず雪村君の子供の頃のわけがないじゃないですか」

呆れたように山南がつぶやいた。





「あら?でもその子から強力な鬼の力を感じるわよ?」




「!?!?」


ばっと全員が振り向いた先には、いつからいたのかお茶をづづっと飲む千姫の姿があった。

「お千ちゃん!?いつからそこに!」

「そんなこと今はどうでもいいじゃない」

ケラケラと笑いながら近づいてくる彼女にそこにいる面々(千鶴以外)が警戒する中、堂々と千姫は千鶴と赤ん坊に近づいた。

「ホントに千鶴ちゃんにそっくりね」

「そうかなぁ…」

「……ねぇ…もしかしたらこの子、本当に千鶴ちゃんの子かも」

「ええ!?」

千鶴は千姫の言葉に危うく子供を落としそうになった。

「だって…女鬼が珍しいのは知ってるでしょ?そんな珍しい女鬼の子供が千鶴ちゃんの所に居る……そんなの偶然じゃないよ」

「そんなこと言われても……」

にわかに信じがたい状況。しかし、

「ちー?」

無邪気に笑う子供に、確かに他人とは思えない何かを感じる。



「とにかく、この子供の親が見つかるまでは千鶴ちゃんが母親になってあげればいいんじゃない?」

にっこりとほほ笑む千姫に……


「そんなわけにいくか!」

「おお。そりゃいいな!」


副長と局長の声が重なった。


「………近藤さん?」

「何を言ってるんだトシ。千姫さんの言うとおりじゃないか!これが偶然なわけはない!」

土方は無言で頭を抱えた。

「それにな。俺にはあの手紙の『未来の』と言う部分が気になってるんだよ」

そう続ける近藤に千鶴は首をかしげた。

「未来?」

すると、今度は千姫が身を乗り出す。

「そうよ!未来の子供なら似てて当然!それに……もしかしたらこの中にこの子の未来の父親がいるかも知れないわね?」

そう言って部屋の中を見回す。


「つまりそれって……」

「雪村の未来の……」

「旦那がいるかもってか…」


部屋の中が鎮まり、皆思い思いに思慮にふけりだす。


「旦那様って!そんな私…/////」

顔を真赤する千鶴に千姫は内心キュンキュンしながら考えてみる。

この先、本当に千鶴に好きな人ができて……

そしてこの子が生まれるならば……


「千鶴ちゃん……私絶対男の子を産むわ!!そしてその子を嫁にもらうから!!!」

いきなり立ち上がり宣言した。

「お千ちゃん!?」


思い思いの思想に走っていた男たちはその言葉を聞き……



千姫の子供……?


………








アイツの子か!?(by平助ルート)





「絶対に許さん!!!!!!!!!!!!!!」


全員の心が一つになった瞬間だった。



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人が多いと話が進まん。
しゃべってない人が多いな…ごめんよ;

意外だったのは近藤さんと千姫ちゃんが書きやすい、動かしやすい!

案外本気で旦那の座を狙ってる人、お祖父ちゃん的位置を望む人…それぞれやっぱり千鶴と千代が大事。
そして某アイツさんは勿論千鶴狙い。だから父親になっても義理のは勘弁(と言うかなる気は無い)

ちなみに
千代の名前の由来は
千鶴の『千』
親父は誰なのよの『代』だったり(爆)

2月1日 風間 葉