「雪村千鶴……今日こそ俺と来てもらおうか…」

屯所の裏を掃除中、声に顔を上げればいつの間にかあの人が立っていた。
その人の名は……

「嫌です。お断りします。帰ってください」

「………もう少し何かないのか、貴様…」

風間千景。



その後も何やらぶつぶつと言っている風間さんを無視して私は仕事に戻った。が、

「おい、話を聞け」

「嫌です。仕事中なんです。見て分かりませんか」

「………お前…俺を馬鹿にしているのか」

私の返事っが癪に障ったのか低くなった声に、仕方なく視線を向けると風間さんはニヤリと笑った。
……そんなに相手をして欲しいのか。

「……鬼の頭領ってそんなに暇なんですか?」

そう言って溜息を吐くと風間さんはムッとしたように眉をひそめた。

「そんなわけなかろう。お前は貴重な女鬼だ。それ故この俺が直々に…」

「そうですか。それは御苦労さまです。忙しいならさっさと帰ったらどうですか?」

バッサリと風間さんの言葉を切ると、流石の風間さんも言葉を失ったのか軽く俯きポツリと、

「………貴様、俺に対してだけ、いやにきつくないか?」

と、こぼしたがあえて無視した。





「雪村」

「あれ?まだ居たんですか?」

「……いい加減怒るぞ」

風間さんを無視して掃除を再開してしばらく、また風間さんが話しかけてきた。
さっさと帰ればいいのに。

「他の奴等はどうした」

「新選組の方々ですか?居ますよ」

「呼ばんのか」

この俺が居るというのに。そう言う風間さん。
……この人ホントに暇なんだな。

「呼べば来ると思いますけど、呼んだ方がいいですか」

「……呼ぶ気はないのか」

「呼んでほしいんですか?」

私の言葉になぜか額を押さえる風間さん。

「俺はお前を攫うぞ」

「へー。そうですか」

「おい……」

あ、日が陰ってきたな。洗濯物取り込まないと。

「もういいですか?」

「………貴様……」

なぜかプルプル震えだす風間さん。
てかホント帰ってくれないかな。



「……もういい。興が冷めた。今日のところは見逃してやる」

「え、今のギャグですか?寒いですね」

「………」

なんだかもう角でも出しそうな勢いだけど、そろそろ誰か呼んだ方がいいかな?
そう思ったが、意外にも風間さんは溜息一つで踵を返した。

随分あっさりと……
と、思ったら彼は一度こちらを振り向き、

「千鶴」

何かを投げよこした。

そしてそのまま何処かへ消えていったのだった……




「なんだろ?」

投げられたのは小さな巾着。
そしてその中には………

「……金平糖?」

お土産だろうか?
変なの。結局何をしに来たのか分からない。

でも……

「ふふっ」

次に来たときにはお茶でも出してあげてもいいかもしれないな。
そんなことを考えながら私は洗濯物を取り込みにその場を後にした。





……まぁ、次もこんな感じだろうけども。








正しい愛し方がわからない







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真っ黒千鶴ちゃん降臨!
風間さんってなんか私的に話が書き難いってか、話が進みにくいってか……
それを克服するにはどうすればいいか考えた結果、風間は風間。なら千鶴ちゃんを!で、こうなりました(笑)

ちなみに
土方が相手なら純粋。沖田ならいじめられっ子。斎藤なら斎藤大好きっ子。平助なら鈍感。原田なら妹系かな。
そして千景は真っ黒と言うことで決定!