最近、困ったことがあります。
それは……
「千鶴……?」
貴方の顔を見ると私は……
「ごめんなさい!!!!」
逃げてしまうんです。
なぜこうなったかは私が聞きたいくらいなのですが……
ある日突然気づいてしまったことが原因なのはわかってます。
その気づいたことと言うのが……
『一君って千鶴の前だとよく笑ってるよな』
平助君の何気ない一言。
それまで気付かなかったのが不思議なくらい……斎藤さんは笑ってるんです。
もちろん、笑っていると言っても微笑なのですが。
なんと言うか……胸がジンと熱くなる笑みと言うか……動悸が激しくなる笑みと言うか……
すっごく心臓に悪いんです。
なぜ今まで気付かなかったのか。
今までは普通に過ごしてこれたのに……
気づけば斎藤さんを目で追って。
目が合って笑いかけてくれた斎藤さんに慌てて眼を逸らして。
私は何をやっているのか。
どうにもならないこの感情は、とうとう本人を見ただけで顔が赤くなってしまうんです。
で、最初の出合い頭に逃走と言う何とも失礼な状況に陥ってしまい……
「どうすればいいですか!?」
「俺に聞くな」
私の悩みを一蹴したのはご存じ鬼副長。
今、私はこの二つ名の意味を確かに感じました……
「酷いですよ……私は真面目に……」
「ガキの色恋沙汰なんざ知るかよ」
「い、色恋!?」
違いますよ。ただ斎藤さんの笑みが最強すぎるんですよ!
そう熱弁するも土方さんは聞く耳なし。
いいですよ。もう土方さんには相談しません。
今度土方さんに悪戯する沖田さんの手助けしてやる。
「お前……今、変なこと考えなかったか?」
「別に考えてません」
流石鬼副長。だてに沖田さんと張り合ってませんね。
「……たく。そう言うことは本人に言えってんだよ。……なぁ斎藤?」
「え?」
土方さん視線の先には……いつの間にか斎藤さんが居た。
え?いつから?
「……千鶴」
「コイツもお前が避ける理由を俺に相談に来てたんだよ。まったくそう言うことは当人同士でやれ。俺を巻き込むな」
そう言って、羽虫でも追っ払うように手で私達を追い払った。
で、土方さん。この場合私は何と言えばいいのですか。
斎藤さんと二人っきりで。
あの斎藤さんと二人っきりで!(大事なことなので二度言いました)
「千鶴」
心の中でワタワタしていると、斎藤さんが私を呼んだ。
「えっと…あの…」
なんと言っていいか分からない。弁解しようにも何を弁解していいのやら。
すると……
「千鶴。お前は俺を嫌ってはいないのか?」
「へ?」
斎藤さんの言葉に耳を疑った。
嫌い?私が?
「まさか!そんなこと絶対ありません!断じてあり得ません!!」
ブンブンと首を振る。ちょっと首がおかしくなりそうだが斎藤さんに誤解されるより全然いい。
そんな私を見て、ほっとしたような顔をして、
「そうか。ならいい」
そう言って斎藤さんは……いつもの5割増しの笑みをくれた。
ああ……駄目です。斎藤さん。
そんな顔されると勘違いしてしまう。
貴方の笑顔は私をおかしくする。
私だけ見れる特別な笑顔だと……思ってしまう。
……好きだと、言ってしまいそうになる。
もどる
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斎藤さんのお題なのに斎藤さんがほとんど出ない罠(馬鹿)
しかもクールか?(そこは一般的斎藤さんのイメージで…)
やっぱり斎藤さんは押せない。
もっとイケイケゴーゴーな斎藤さんが書きたいのになぁ!!!!
でも誰の話より千鶴ちゃんが楽しそうなのでいいか。(オイオイ)