「千鶴ちゃん、甘いお菓子食べたい?」

「え…?」

ああ、その期待に満ちた顔。
それでも隠してるつもりなのかな?
目がキラキラしちゃってる。
そんな顔も可愛いけどやっぱり……


「あはは。聞いただけ」

「………」

一瞬眉間がぴくりと動く。
そして何とも言えないような…そんな顔。

うん。やっぱりそっちの方が僕は好き。









僕は千鶴ちゃんのこと、わりと好きなんだよね。
って、言い方すると「嘘付け」とか「わりとって何だ」とか言われるだろうけど(主に幹部連中が)これでも僕としてはいい評価なんだけどね。

だけど千鶴ちゃんはそうじゃないらしい。
見てればわかる。僕と他の人とでは明らかに表情が違う。


たとえば平助なら子犬みたいにじゃれてるし、一君ならヒヨコみたいに後ろを付いて行くし。
左之さんだと猫みたいに可愛がられてる。
土方さんは……怖がられてるみたいだけけど、案外あの人千鶴ちゃんには甘い。

と、結構あの子、うちの幹部と仲良くやってる凄い子何だけど、僕は別。


笑いかけたら怯えるし、
抱きついたら悲鳴を上げるし、
話しかけたら二歩下がるのは当たり前。



………なんか扱い酷いよね。
ま、それなりのことはしてきたけども。




新八さん達に言わせれば自業自得らしいけど、彼等は知らない。


僕に怯えるあの潤んだ目の可愛いこと。
抱きしめたときのあの拒絶っぷりは何とも言えない。


皆もったいないね。あんなに可愛い千鶴ちゃんを知らないなんて。



………でもさ、やっぱり僕が一番好きな千鶴ちゃんの顔は…






「…で、相談なんだけど今日僕は非番なんで一緒に甘いものでも食べに行きませんか?」

「へ?」

「何?何か用事でもあるの?」

「ないですけど……いいんですか?」

「僕が言ってるんだからいいに決まってるでしょ。行くの?行かないの?」

「………行きたいです!」



ほらね?
なんだかんだ言ってもやっぱり笑った顔が愛おしくて。



「ふぅん?でもそれって甘いものが食べたいだけだよね?別に甘いものが食べられるなら僕じゃなくてもいいんだよね?」

僕の言葉に、うろたえるその顔も勿論好きで。

「え…あ、あの……お、沖田さんと一緒だから……」

真っ赤になりながら、僕の着物を握り俯く千鶴ちゃん。

「僕とだから…?」

「うっ…お、沖田さんと一緒だから嬉しいんです!!」

やけっぱちに上げた顔はタコみたいに赤く、叫ぶような言葉は僕の欲していたもの。

「うん。良くできました」

そう言って頭を撫でてやると千鶴ちゃんは僕の顔を覗くように顔を上げた。

そして……笑うんだ。嬉しそうに。



なんだかなぁ……
僕はわりと君が好きなんだ。
君のくるくる回る表情に飽きることが無いんだ。

ねぇ、これって結構……重症かもしれないね?




〜その顔が堪らない〜



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わりとって結構いい言葉だと思う。曖昧さがイイ(何故)

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