「お前さ、怖くねぇの?」
毎日毎日、この羅刹隊の居る前川邸に訪れる千鶴。
たとえ昼だろうが危険が無いとは言えない場所。
なのに毎日……ホント毎日千鶴は来る。……俺に会いに。
「……平助君が?」
俺の言葉を少し考えてから千鶴は首をかしげた。
どうやら言葉が足りなかったらしい。
んでも……間違っちゃない。
「うーん…ま、そんな感じ」
「何それ」
クスクスと笑う千鶴は……やっぱここには似合わない。
ここは闇だ。千鶴は日の下で笑ってるのがいいに決まってる。
「笑うなよ。……あのさ、やっぱり…」
ここに来ない方がいい。そう言おうとしたら、止められた。
「嫌」
「嫌って…」
千鶴って俺といる時が一番強気じゃないか?俺そんなに威厳ない?
なんか関係無いことを考えてしまうが、とりあえず置いといて。
「だってさ、危ないじゃん。それに夜だって俺に付き合って起きてたり…体長崩すってーの!」
千鶴まで闇に付き合うことはないんだ。
だって千鶴はいるだけでいい。生きているだけで俺にとっては光なんだ。
だから……だから、そばにいなくても、光の下で笑っていてくれるなら…それでいい。
なんて思うけど上手く言葉に出来ない。なんか気障だし……
これだから子供だって言われるのかもな……
「平助君…」
悲しげにこっちを見る千鶴にうっ…と言葉が詰まる。
どう言えば傷つけないのか。どう言えば泣かせないで済むのか。
悩む俺に千鶴はこう言った。
「平助君。……私ね、やりたいことをやってるの」
「やりたいこと?」
「うん。平助君の傍にいたい。だから夜起きてるのも、ここに来るのも……平気」
そう言って笑う千鶴はやっぱり光みたいに眩しくて。
「だから……平助君もやりたいことをして?」
「俺の……やりたいこと?」
「そう。平助君は私が来るの……嫌?」
まさか。
「そんなわけね−じゃん!」
「だったら……」
そう言って伸ばされた手は、優しい千鶴のあったかい手。まるで俺を導くような光。
「私は一緒に歩きたい。歩いて行きたい」
俺にその手を取ることが許されるのか。
闇でしかない俺が、光と共に歩むことができるのか。
ちがうな。
許されるとか出来るかとか、そんな人に聞くんじゃダメなんだ。
俺が何をしたいのか。
誰といたいのか。
それが……大事。
「ごめんな。千鶴。俺、お前と歩きたい」
「何で謝るの?」
握った手は思ったとおり、あったかくて優しくて。
俺の隣で笑う君はやっぱり俺の光。
その光が消えないように……絶対に守り続ける。
たとえこの闇がどんなに深くなろうとも……
君と歩み続けたい
〜光と隣り合わせの闇〜
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平助強化5のお題『優しい君へ5のお題』〜光と隣り合わせの闇〜
平助強化と言うことで一番に書き上げたお話。
まぁ何で平助と言われれば、某妹さんが平助ラブなのでとしか言いようがない(笑)
しかもあれですよ。バレンタイン企画の順位、平助最下位とか(爆)
その慰めてきなもの。
てか、最下位ってことはこのサイトに置いての需要が無いのでは……
あはは。ま、いいか。