初夏の日差し暖かな今日この頃
私達は来年もここに立って居られるでしょうか?
「歳三さん!歳三さん!」
「んぁ?」
冬が終わり春が過ぎ、日差しが徐々に暑さに変わるそんな初夏。
桜の花はすっかり緑色の葉に変わって。もうじき紫陽花が咲くそんな初夏。
二人は……幸せに暮らしていた。
「見てください!かたつむり!」
「お前……普通そういうのは女は嫌がるものじゃねぇのか?」
「え、そうですか?可愛いと思いますけど……」
そう言って掌を這うかたつむりを突く千鶴を苦笑しながら土方は眺めた。
二人が暮らし始めてどれだけたっただろうか?
いくつの季節が廻ったのか。どれだけの年月が流れたのか。
そんなことは二人とも考えてはいなかった。
「そういや去年は、なめくじが大量に発生してたな」
「そ、それは言わないでください!思い出したくないんです……」
「かたつむりとなめくじ……同じじゃねぇか」
「違います!かたつむりは可愛いと思います!」
「なんだそりゃ」
ククっと笑う土方に千鶴は頬を膨らませる。
あとどれ位の時間が残されているのか。
時間が流れれば流れるほどに不安に押しつぶされそうになる。
それでも……幸せだと思える今を二人は生きていた。
「……もうじき梅雨ですね」
「そうだな。雨は嫌いじゃないだろ?」
「そうですけど……洗濯物が……」
「すっかり主婦だな」
「それ、今更ですよ……あ、そうだ。居間の雨漏り直しておいて貰えますか?」
「またか。ボロいな…この家も」
「でも、大事な我が家です。それに……もう私達の匂いが染みついてます……」
日の当たる縁側で幸せそうに微笑む千鶴の表情に、少しの悲が含まれるようになったのはいつからだったか。
此処に住み始めた時からだったような気もするし、それよりも前からだったような気もする。
先のない自分に付いて来たばかりに……土方はずっとそう思ってきた。
「そうだな。……お前と二人ってのにも大分慣れた」
そう言って少し遠くを見る時、土方は必ず新選組のことを思い出していることを千鶴は知っていた。
彼のすべてを知っているわけではない。新選組のこともすべてを理解してあげることは出来ない。
それでも……この人を一人にはしない。最後まで共に……それが千鶴の願いだった。
「そうですね……私だけじゃ物足りませんか?」
千鶴はかたつむりをそっと逃がしてから、土方の隣に寄り添った。
「何言ってんだ。俺は……」
その続きは千鶴の口に奪われる。
珍しい行動だが時々……千鶴は自分から土方の手を取る。
彼が自分に負い目を感じていることを知っているから。
「私、近藤さんに頼まれたんです。貴方のことを……だから、ずっとそばに……」
そう言って土方に自ら寄りかかる千鶴を土方はしっかりと抱きしめた。
なんにしろこの手を離せないことは自分が一番よく知っている。
たとえ不幸にするだけだとわかっていても……絶対に離せない。
「あ、見てください!またかたつむり!!」
「お前は…ホントに好きだな……」
最後まで共に
それは土方自身の願いでもあったから……
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あれ?おかしいな。幸せいっぱい土方夫妻を書こうと……あれ!?
しかもオチが弱い(いやシリアスにオチは無い)
ギャグ担当としては……↓*↓
おまけ
「そういや知ってるか?かたつむりは成長すると殻から出てきて別の殻に移るんだ」
「ええ!?」
「しかもその殻を巡った戦いに敗れた者はなめくじとして生きていかなきゃならねぇ」
「そ、そんな!」
「だからかたつむりは塩をかけても死なねぇだろ?ありゃ強いからだ」
「………そ、そうだったんですか……」
「嘘に決まってんだろ」
「………!!!ひ、酷いです!騙したんですか!!」
「騙される方が悪いだろこれは……本当に単純だな」
「うう……酷いです…」
「全く。千鶴が心配でこれじゃおちおち死ねねーなぁ」
「……!当たり前です!歳三さんがいないと私生きていけません!!」
「あー、泣くなよ……ほら千鶴…?」
「うう……歳三さんなんか……………大好きです!!」
「………(可愛いなぁコンチクショウ!)」
とかやってればいいと思う。(ラブ×2夫婦)
狙うはシリアスと見せかけたカウンターパンチ(狙うな、んなもん)
てな感じで祝3000のキリ番リク「土方夫婦幸せバージョン」でした!
以下ミズキ様へ
おひさしぶりです!勿論覚えてますよw
今回は土方さんが幸せ…と言うことで……前半はシリアスですけどおまけで挽回……出来ていれば幸いです(笑)
原作沿いだとやはりシリアスになりがちですね……裏ではバカップルだと思います。(願望)
二度目と言うことですが……むしろこちらが土下座で感謝ですよ。
更新不定期なこんなサイトに何度も来てくださって……もういくらでも書きますよ!(←迷惑)
ホントにキリ番報告ありがとうございました!!
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