今日は、皆で斎藤さんのお部屋にお邪魔しています。
「へ〜、斎藤って結構綺麗好きなんだな」
「んー。と言うより物が無いな。面白くない」
「総司……お前人の部屋を物色してんじゃねーよ」
「女っ気ゼロ……よかったな。平助。同士だ」
「どういう意味…左之さん!」
メンバーは上から永倉さん、沖田さん、土方さん、原田さん、平助君、そして私。
なぜ今日、皆でここに来たかと言えば……
「………(…五月蠅い)」
斎藤さんが風邪でダウンしてしまったからなのです。
「大丈夫か?」
「………平気です」
土方さんの問いに答える斎藤さんはとても苦しげで……顔も赤くて熱も高そう。
「一君が倒れるなんて珍しいよね」
「そうだな……最近気温の変化が激しいのが効いたんじゃねぇか?」
「そうか?俺は平気だけどなぁ」
「「馬鹿だからなぁ」」
「んだと!?」
斎藤さんがこんな状況でも相変わらずな平助君と原田さんと永倉さんに土方さんの鉄拳が降る。
「病人の傍でバカやってんじゃねぇ」
「「「す、すみません」」」
土方さんに怒られて項垂れる三人はそれはそれで微笑ましいというか、面白いというかという光景だったけど今は笑ってる場合じゃないと思いなおし、斎藤さんに近づく。
「……斎藤さん、何か欲しいものはないですか?」
頭の中で病人の看病の方法を思い出す。
たしか、寒いなら温めて……熱いなら冷ます……だったはず。
「……別に無い」
いつもより口数が少ない気がする。やっぱりしんどいのだろう……
「一君っていつもこんなんじゃない?」
と、突然沖田さんが私の肩越しに斎藤さんを覗き込んできた。
あれ?でもさっきの口に出したっけ?
てか、なぜ私のお腹に手が回されているんですか?え?ええ?
「あー!総司ずるいぞ!何千鶴を抱きしめてんだよ!」
「だって千鶴ちゃんがここにいるのが悪い」
「意味わかんねぇよ」
なぜか私を中心にまた皆が騒ぎ出す。
ああ…斎藤さんが今まで以上に苦しげに……!!
「テメェ等!病人がいるんだ、静かにしやがれ!!」
ガヤガヤと騒ぐ皆を一瞬で静まらせるのは勿論副長。でも……
「あはは。土方さんの声が一番煩いですって」
私もこの時ばかりは沖田さんに同意した。
「……俺は平気ですから…(帰ってくれ)」
ゴホゴホと咳をしながら言う斎藤さんは…なんだか来たときよりも悪化している気がする。
……たぶんそうなんだろう。
「斎藤さん……すみません。騒がしくしてしまって……。でも私達、心配で……」
そっと斎藤さんの手に触れた。
その手は凄く熱くて……何もできない自分が歯がゆかった。
「……千鶴…」
そんな私を見かねたのか、土方さんが横にきて斎藤さんに笑った。
「……斎藤、しっかり休め。んで早く良くなれよ」
そう言って、斎藤さんの頭を撫でた。
なんだか子どもにするようなそれは……凄く優しくて。
「……ありがとうございます」
見ているこっちの心がジンと温かくなった。
病人の前ではやっぱり鬼は返上するんだなぁ……(失礼)
「それじゃ戻るか。ここに居ても悪化させちまうからな」
行くぞ。と、他の面々を部屋から出そうとする土方さんに私は、
「ここに残ってもいいですか?」
と、お願いした。
「千鶴?」
「あの…斎藤さんがいいと言ってくれたら…なんですが……看病したいなって…」
しどろもどろになりながらも説明すれば、斎藤さんがわずかに笑ってくれた。
「気持ちはありがたいが……うつしたら悪い」
「だ、大丈夫ですよ!私健康だけが取り柄です!」
「しかし……」
それに……こんな苦しそうな斎藤さんをほっておけない!
そんな私が必死に説得をしているときに……彼は言った。
「駄目だよ。某インフルエンザだったらどうするの」
「………」
沖田さんの言葉におそらく皆、同じことを思い出していた。
最近毎日ニュースで出てくる……あれ。
「ま、まさか〜そんな訳ねぇって!」
平助君が明るく言うが……
「なんで?証拠は?」
ニコニコと笑いながらたたみかける沖田さん。
いや、斎藤さんが某インフルだという証拠もないのでは……
「そうだけどもしそうだったら大変じゃない?」
「だから、どうして普通に人の心を読むんですか!」
そして、沖田さんの言葉は…
「確かに……この時期にってのはちょっと怪しいよな」
「新八、テメェまで…大体まだ日本には入ってきちゃいねぇだろ?」
「新聞はちゃんと読めよ、佐之。今日確認されたらしいぜ?」
「マジかよ……」
疑惑の渦を大きくしていく……
「お前等落ちつけ。総司の冗談に一々反応してんじゃねぇ」
「あれ?土方さんは疑わないんですか?」
「お前、苦しんでる病人を追い込むような真似すんじゃねぇよ」
「つまらないなぁ……じゃあ千鶴ちゃんはどう思う?」
「へ?」
いきなり振られても困る!
チラリと斎藤さんを見ると、なぜか目が合ってしまった!
……そんな目で見ないでください……
すると……
「……誠実な目をしているな…」
目をそらされた。
…
……
………あぁあぁぁあああぁあーー!(絶叫)
違うんです、誤解です、けして疑ったわけでは!!!!!
てか、それ使いどころが違うと思います!
てかそれは暗に単純だと?目を見れば考えてることが分かると!?
あああーーーーー!斎藤さんーーーー!カムバック!!!!!!(混乱)
あまりのショックに絶句する私の隣で、
「あはは。ホントに大丈夫?」
笑う沖田さんを私の代わりに土方さんが殴ってくれました。
後日、斎藤さんが全快してからも……しばらくはまともに目を合わせてくれませんでした(涙)
※斎藤さんの病名はただの風邪でした。
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斎藤さんlove様へ
キリ番ありがとうございました!
リクエストは無かったようなのですが、名前に一ちゃんが居たので一応、一ちゃん話で。
ネタが無かったので時事ネタで……某インフルは豚でも鳥でも……(オイ)
あれです。極道シリーズ的な設定で……うん。現代です。
分類するなら「現代でオールキャラのドタバタギャグ、斎藤落ち…?」です。
落ちてねぇよと言う文句は斎藤さんlove様のみOKです(笑)
実はあのセリフを使いたくてたまらずの話だったりする……(ファンに殺されるな。いつか)