〜ひな祭り小説4≪藤堂≫〜
「見ろよ!甘酒だってさ!」
平助君が指さす方を見るとそこには、ひな祭りの催しなのか甘酒が振舞われていた。
「千鶴も飲むよな?」
「え……」
私はお酒が飲めないんだけど……
「大丈夫だって。甘酒だぜ?」
「う、うん……」
ニッコリ楽しそうに言う平助君に押されて……拒めなかった。
そして……
「だ、大丈夫か?千鶴……」
「ふぇ……」
……酔いました。
(千鶴が酔ったので平助のターン)
「まさか甘酒で酔うなんて……」
「みゅう…」
完全にグロッキー状態な千鶴を仕方なく背負ってやる。
……って言っても内心すんげードキドキしてるんだけどな!
「千鶴ー、大丈夫か〜」
「ふぇ」
「無理か……」
折角のひな祭りにやってしまった……
千鶴がいつもとは違う格好ですんごい可愛かったから俺もちょっと羽目を外し過ぎたんだ……
どうしよう。屯所に帰った方がいいんだろうけど……
このまま帰ったら殺される。絶対に。
「平助君…」
「なんだー?」
うみゅーと訳のわからない鳴き声(?)をあげながら俺の首に抱きつく千鶴は……なんつーか…
「可愛いなぁ、おい…」
思わずにやけてしまう。
こんなとこ他の連中に見つかったら……絶対持っていかれる。
「平助君」
「ん?」
あんまり千鶴が呼ぶから何かあったのかと道の端にあった石の上に下してやる。
気分でも悪くなったのかと顔を覗きこめば……
「へいすけくんだ」
嬉しそうに笑う千鶴。
ああ……なんて言うんだろこれ……
「可愛すぎだろ……」
とりあえず……千鶴の酔いがさめるまで屯所には絶対に近づかないと心に決めた。
「ホントにごめんなさい!!」
「いや、俺が進めたのが悪いんだって。気にすんなよ」
「でもずっとおぶってもらって……」
「大丈夫。俺こう見えて体力はあるし」
「でも……」
「そんな顔すんなよ。俺だってさ、折角のひな祭りにこんなことになって悪かったと思ってんだからさ」
「そんな……私は平助君と一緒にいられれば…」
「え…」
「……///」
「……んじゃさ、一つ約束してくれよ」
「約束?」
「うん。酒は金輪際、俺の前以外で飲まないこと。あ、勿論俺以外がいても駄目ね」
「いいけど……どうして?」
「だってさ……酔った千鶴の姿は俺だけのもの……なんつってな///」
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